先ず五線の最初に書かれるのが音部記号(おんぶきごう)です。音部記号は音の高さの基準を示すもので、演奏者の扱う楽器によって違ってきます。音符の位置や音名に注目しながら、音部記号について確認していきましょう。最後には音部記号には関係ないものにも、少し触れておきます。

ト音記号

ト音記号とソ音
ト音記号とソ音の小節

ト音記号が最も有名

矢印で示すのがト音記号(とおんきごう)で、最も目にする音部記号でしょう。ト音記号はソ音が何処に位置するのかを示しており、ソ音を日本音名にするとト音なので、ト音記号と呼ぶわけです。ト音記号はギターやヴァイオリン等の、高音域の楽器で活躍します。

高音部記号

ト音記号は高音部記号(こうおんぶきごう)とも言われます。

ト音記号の書き順
ト音記号の書き順の画像

ト音記号は第2線から

ト音記号の書き順ですが、五線の第2線であるソ音から書き始めます。そこから第3線と第1線を沿うように書いていきますが、多少のズレはあっても問題ないかと思います。

ト音記号はGが変形

ト音記号はソ音を英語音名にした、アルファベットのGを変形させたものと言われています。

ヘ音記号

ヘ音記号とファ音
ヘ音記号とファ音の小節

ヘ音記号も有名

次に多く見る音部記号がヘ音記号(へおんきごう)でしょう。ヘ音記号はファ音が何処に位置するのかを示しており、ファ音を日本音名にするとヘ音なので、ヘ音記号と呼ぶわけです。ヘ音記号はコントラバスやトロンボーン等の、低音域の楽器で活躍します。

低音部記号

ヘ音記号は低音部記号(ていおんぶきごう)とも言われます。

ヘ音記号の書き順
ヘ音記号の書き順の画像

ヘ音記号は第4線から

ヘ音記号の書き順ですが、五線の第4線のファ音から書き始めます。黒点を付けるとらしくなりますが、手書きの場合は省略する人もいます。最後に第4・3間へ点を付けてやりましょう。

ヘ音記号はFが変形

へ音記号はファ音を英語音名にした、アルファベットのFを変形させたものと言われています。

大譜表

ト音記号とヘ音記号のド・レ・ミ
ト音記号とヘ音記号のド・レ・ミ小節

音の高さが違う

ト音記号とヘ音記号で表したド・レ・ミですが、上下の音符ではド・レ・ミに1オクターブの差があります。ト音記号の最初のドと、ヘ音記号の最後のドは同じ高さのドになるのですが、分かり易いように書き直してみましょう。

大譜表
大譜表の小節

大譜表は音域が広い

色分けで表している中央のドが同じ高さです。矢印で示す曲線と尖りを持つものを中カッコと言い、中カッコで結ばれる小節を大譜表(だいふひょう)と言います。大譜表はピアノやハープのように、音域が広い楽器で活躍します。

大譜表ではない
大譜表ではない小節

大カッコは大譜表に非ず

上記のような形状を大カッコと言いますが、大カッコで結ばれているものは大譜表にはなりません。中カッコで括られた大譜表は、同じ楽器を弾く事を意味しますが、大カッコで括られた場合は、種類の違う楽器を表しています。

ハ音記号

ハ音記号(アルト譜表)
ハ音記号(アルト譜表)の小節

ハ音記号はドを示す

稀に見られる音部記号がハ音記号(はおんきごう)です。ハ音記号は中心の尖った部分がドになる、という事を表しています。譜表(ふひょう)というのは音域を意味しており、上記のハ音記号はアルト譜表の音域を表していますが、ハ音記号は次のように上下移動して、その譜表名を変える事もあります。

  • ハ音記号(ソプラノ譜表)
    ハ音記号(ソプラノ譜表)の小節
  • ハ音記号(メゾソプラノ譜表)
    ハ音記号(メゾソプラノ譜表)の小節
  • ハ音記号(アルト譜表)
    ハ音記号(アルト譜表)の小節
  • ハ音記号(テノール譜表)
    ハ音記号(テノール譜表)の小節
  • ハ音記号(バリトン譜表)
    ハ音記号(バリトン譜表)の小節

ドの位置が変わる

ハ音記号が動くとドの位置も変わり、音域を変えるような仕組みになっています。しかし、現在では①のソプラノ譜表、②のメゾソプラノ譜表、⑤のバリトン譜表は使われていません。③のアルト譜表はヴィオラという楽器で、④のテノール譜表も極稀に見られる程度です。

譜表は記号

ここではアルト譜表などという書き方ですが、アルト記号という風に説明されている場合も多いです。

  • ト音記号(ヴァイオリン譜表)
    ト音記号(ヴァイオリン譜表)の小節
  • ト音記号(小ヴァイオリン譜表)
    ト音記号(小ヴァイオリン譜表)の小節

ト音記号の譜表

⑥は最初に説明したト音記号で、これをヴァイオリン譜表と言います。そして、ト音記号もハ音記号と同じく動き、⑦を小ヴァイオリン譜表と言います。しかし、小ヴァイオリン譜表は現在では使われません。

  • ヘ音記号(バス譜表)
    ヘ音記号(バス譜表)の小節
  • ヘ音記号(低バス譜表)
    ヘ音記号(低バス譜表)の小節

ヘ音記号の譜表

⑧も最初に説明したヘ音記号で、これをバス譜表と言います。やはり、ヘ音記号もハ音記号と同じく動き、⑨を低バス譜表と言います。しかし、低バス譜表も現在では使いません。

覚えるべき音部記号

ハ音記号は少し特別なので、音部記号はト音記号のヴァイオリン譜表、ヘ音記号のバス譜表を覚えておけば、現代音楽では先ず困らないでしょう。

TAB

TAB①
TAB1の小節

TABはギター系の譜面

TABとは数字でギター系楽器の、何処を押さえて弾くかを表したもので、タブラチュア譜面と言います。ギターの弦は6本ですが、上記のTABの横線も6本あり、それがギターの弦を表しています。5弦の楽器ならTABも5本、4弦の楽器ならTABも4本と、弦の本数に合わせたTABの表示がされます。

TAB②
TAB2の小節

TABの数字はフレット

上記は6弦ギターのTABですが、一番下が6弦となっています。しかし、実際にギターを持って構えると、6弦が一番上になるので、最初は少しややこしく感じます。そして5弦に3、4弦に2と5、3弦に4という表記がありますが、これらの数字はフレットを表しています。

ギター
ギターの画像

弦とフレットで表す

上記で表しているのがフレットで、左から順番に1フレット・2フレット・3フレットと数えます。なので、ドなら5弦3フレット、ミなら4弦2フレット、ソなら4弦5フレット、シなら3弦4フレットと表すわけです。弦を押さえないで弾く場合もあり、その場合は2弦0フレットというように表します。

TABは音部記号ではない

TABは音部記号ではなく、楽典にも出てこない音楽理論です。また、音符と違い音の高さを把握しづらい譜面ですが、音符が読めない人でも直ぐに覚えられます。

記事終了
このページのまとめ
  • ト音記号(ヴァイオリン譜表)が最も多い音部記号。
  • ヘ音記号(バス譜表)も多く見られる音部記号。
  • ハ音記号は稀に見られる音部記号。